国税庁が発表した昨年度の個人事業者の調査状況について国税OB税理士が解説

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
国税庁が「令和3年事務年度の所得税及び消費税調査等の状況」という報告書を発表しました。
調査件数は前年よりも増加するも依然として低水準
所得税の実地調査件数は3万1千件と前年度2万4千件より3割ほど増えましたが、コロナの影響もあって依然として低水準です。
コロナ前は年間7万3千件の実地調査が行われていたので、まだまだ半分以下の件数ということです。
個人事業者の方はコロナで大変な中ですが、対税務署という点では少しは楽できてる・・・??
と思いきや、そうでもないのです。
1件あたりの実地調査による追徴税額は前年よりも増加した
実地調査1件あたりの追徴税額は256万円と、前年度の224万円よりも少し増加しました。
実は、コロナ前の調査1件あたりの追徴税額は130万円程度だったので倍増していることになります。
コロナで件数が少なくなった分、深堀りした調査が行われ、結果として多額の追徴税額が課せられているといった状況。
その他のトピックス(主な取り組み)
本報告書では、毎年所得税調査における主な取り組みとして何点かトピックスが紹介されています。
今年は、富裕層、海外投資、インターネット取引、無申告者、消費税輸出物品販売場制度の悪用事案に対する調査状況が挙げられていました。
このうち消費税については今年新たな取り組みとして初めて取り上げられたもの。
インボイス制度導入を控えて、消費税関係の調査頑張っていますアピールでしょうか。
調査1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位5業種
- 経営コンサルタント
- システムエンジニア
- ブリーダー
- デザイナー
- 不動産仲介
常に首位を争っていた「風俗業」と「キャバクラ」が圏外なのがコロナの影響が色濃くでてますね。
あと、近年では上位に入っていた太陽光発電業者がブーム一服なのか圏外となっています。
国税庁の統計とかも何年か並べてみると世相が反映されていて興味深い。
来年はどんな年になるのでしょうか。
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