「タワマン節税にメス」について国税OB税理士が解説。【前編】

こんにちは、須坂市の植木税理士事務所です。

「政府・与党は、タワーマンションの相続税評価額を引き上げる検討を始めた」との報道がありました。

タワマン節税とは

タワマン節税について、実際にあった事例(今年4月の最高裁判決)を基に、ものすごく簡素化して脚色したフィクションとして紹介します。

金持さん

先生、私も90歳でして。一人息子に残す財産として現預金5億円があるんですが、相続税は結構かかるんでしょうか?

税理士

金持さんの相続が発生した場合には一人息子さんが支払う相続税額は2億円近くなりますね。タワマン節税やりましょう。

金持さん

タワマン節税?

税理士

マンションなどの不動産は相続税評価額が現金などの7割くらいになります。さらにタワーマンションは低層階と高層階では価格は数倍違うのにその評価額は同じなんですよ。これを利用します。まずは銀行から借り入れをおこして...

金持さんとその息子さんは、税理士のアドバイスに基づき、銀行から10億円の借入をおこし、10億円のタワマン最上階を購入します(ちなみに1階は3億円)。その2年後、金持さんは亡くなり相続が発生しました。

さらに亡くなってから9か月後、税理士と息子さんが相続税申告の準備をしています。

息子さん

先生、父が亡くなり相続した駅前のタワマンは先日9億円で売れました。そろそろ相続税の申告期限ですがどうなりますか?

税理士

相続税の申告は金持さんが亡くなった時点の純資産で行います。

資産は、現金が5億円とタワマンの路線価評価額2億円の合計7億円。

負債は、銀行借入が10億円。

差し引きマイナス3億円なので相続税は0円ですね。

息子さん

私の手元には、タワマン売却代金9億円+現預金5億円-銀行借入返済10億円で4億円の現預金が相続財産としてあるのに相続税が0円とはすごい。

先生

場所によって価格が決められている路線価に基づいて評価すると、10億円の最上階と3億円の1階の評価額は同じ2億円になってしまいます。でも相続税財産の原則的な評価方法を定めた国税庁の財産評価通達に基づいた結果なので。

ここまでが、タワマン節税が横行している理由です。

お上の決めた評価方法で評価しているので何が悪いということですね。

今回の報道は、この法律(通達)上の抜け穴を法(通達)改正で手当てすることになったというものです。

では、改正まではタワマン節税はやり得かといったらそうではありません。

財産評価通達6項とは

財産評価通達には、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」といういわゆる総則6項という定めがあります。

国税側の伝家の宝刀とされますが、上記の事案ではこれを抜いたのであります。

長くなったので続く。

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