消費税インボイス制度~税制改正大綱に盛り込まれた措置について

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
いろいろありましたが令和5年度の税制改正大綱が公表されました。
基本的にはこれまで報道で取り上げられてきた内容と大きく変わった点はないようですが、今回はインボイス制度に関するものの中から主なものまとめました。
①小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置
もともと免税事業者であるはずの事業者が、今回のインボイス登録によって課税事業者になった場合、消費税の納付税額を売上に係る消費税額の2割とすることができます。
フリーランス等のサービス業者においては、簡易課税を適用しても、消費税の納付税額は売上に係る消費税額の5割ですので負担緩和効果は大きいかなと。
しかしながら、製造業や建築業者においては、簡易課税適用の場合3割負担なのでそんなに大きな差はない?。
当緩和措置は、事前の届け出等は必要なく、消費税申告書に適用を受ける旨を付記するだけでよいとのことです。
中小事業者に対する事務負担の軽減措置
基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者については、1万円未満の課税仕入れについてはインボイスの保存は不要となり帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。
一瞬、「おお、これでだいぶ作業負担減るんじゃない?」と思ってしまいますが、売上5千万円以下の場合は簡易課税を適用していることが多いので、実質的には売上5千万円超から1億円以下のせまい範囲の事業者しか恩恵を受けることができません。
今更ながらですが、クレジットカードで決済した経費についてもすべて個々にインボイスを確認して、番号のないものは除外したり、帳簿にその旨記載したりと、そんな大変な作業を一般的な中小企業が対応できるのかなと。
インボイスの導入趣旨からすれば、これまでのように「少額の経費は帳簿だけでよい」とはならないことは理解できますが、悩ましいですね。
ちなみに本措置は6年間の期限付きです。6年後にはまた延長されそうですが
最後に
これらいくつかの軽減措置によって、これまで登録をどうしようかと迷っていた免税事業者は手を上げやすくはなったかな。
やはり取引先がある話なので免税事業者のままでいるのは難しいという小規模事業者さんは多いようです。
売り手も買い手も本当に大変ですがなんとか乗り切っていくしかありません。