消費税インボイス制度~売り手が振込手数料を負担した場合の取扱い

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
今回の税制改正大綱に盛り込まれたインボイス制度の負担軽減策についての続報です。
前回は、新規免税事業者の2割納税、小規模事業者の1万円未満取引のインボイス不要について紹介しましたが、今回は、もう1点について。
その内容とは、
「売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務を免除する」
です。
何が何やら?かも知れませんが実は少なくない事業者にとってかなり助かる内容なのです。
それは、振込手数料について。
課税売上1億円以上の事業者においては、どんなに少額な取引でも税額控除を受けるには原則的にはインボイスの保存が必要になるので、110円とか220円といった非常に少額な振込手数料についても、銀行の発行するインボイスが必要になります。
振込手数料は買い手が負担するのが原則であり、その場合は特に問題ありませんが、売り手が負担するケースも少なくありません。
そのような場合、実際に振込をおこなっているのは買い手のため、売り手が負担した支払手数料について売り手が消費税の仕入税額控除を受けるためには、振込手数料に係る銀行のインボイスを買い手から毎回入手しなければならないことになります。
非常に煩雑で現実的ではありません。
その対策として考えられる方法が、負担した手数料を実質的な値引きとして処理することです。
しかし、その場合でも相手側に、適格返還請求書なるインボイスを発行しなければならず、結局これが負担でしたが、この交付義務がなくなるということ。
振込手数料が1万円を超えることはないので、これで「振込手数料売り手負担問題」は完全クリア!です。