年末の風物詩であるお歳暮の税務処理と注意点について国税OB税理士が解説

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
この時期は法人もお世話になった取引先にお歳暮を贈ったり贈られたり。
そこで、法人が得意先にお中元やお歳暮を贈った場合の税務上の注意点についてまとめました。
お中元やお歳暮の会計科目
これは、一般的には「接待交際費」にしているかと。
交際費については、税法で「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」とされています。
よって取引先に対する贈答品としてのお歳暮などは交際費に該当します。
ところで、同じ贈答品でもカレンダーや手帳、手ぬぐいなどは広告宣伝費として交際費から除かれたりしますが、そもそも資本金1億円以下の法人では交際費も年間800万円までは損金に算入されるので、交際費とそれ以外の費用の区分けをする必要性はあまり大きくありません。
税務調査で否認されないために
大企業においては、交際費は原則として損金不算入なので、税務調査では、主に交際費以外の費用が交際費に該当するかどうかを調べられます。
これに対して、中小企業に対する調査では、主に交際費が個人的経費に該当するかどうかを調べられます。
先に述べたとおり、お中元やお歳暮にかかった費用は交際費に該当するのですが、交際費として認められるためには、贈り先が事業関係者(得意先、仕入先その他事業に関係のある者)であることが必要です。
例えば、贈り先が、会社に関係のない社長個人の知り合いとか親戚とかの場合には交際費に該当しませんので、税務調査で発覚した場合には社長に対する賞与として税務否認されることになります。
また、そのようなあからさまな贈答がなかったとしても、贈り先をあいまいなままにしておくと、税務調査の時に、ちゃんと事業関係者に贈ったのか怪しまれ、確認のために取引先に反面調査に行かれるなど、痛くもない腹を探られることに(やましいことがなくても、取引先に反面調査に行かれることを嫌がって仕方なく自分の賞与として処理する社長さんもいます)。
このようなことを避けるためにも、お中元やお歳暮などについては、何をどこに贈ったのかのリストを作成しておきましょう。
特に商品券などの金券については、不正に支出される事案が多いことから、税務調査では必ず調べられます。リスト作成はもちろんのこと、反面調査で確認が行われることも念頭に置いておく必要があります。
最後に
お中元やお歳暮の購入費用は消費税の課税対象なので、飲食料品(アルコール以外)なら8%、それ以外なら10%の税率で仕入税額控除の対象になります。
ちなみに、贈答費用が個人的費用であるとして調査で否認された場合には、消費税の仕入税額控除を否認され、法人税、源泉所得税、消費税のトリプルパンチ追徴課税をくらいます。
(税務調査の認定賞与についての過去記事はこちら)
ビール券や商品券については、引き換え前は消費税の課税対象外なので、原則として仕入税額控除はできません。
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