ジャニーズ事務所がお年玉を交際費としていたところ国税局から追徴課税されたとのニュースについて国税OB税理士が解説

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。

昨日、お歳暮に関して、交際費と税務調査の話をアップしたのですが、その直後にこのネットニュースを見てあまりのタイミングの良さにびっくり。

過去記事はこちら

Yahooのネット記事より引用

ジャニーズ事務所(東京都港区)とグループ会社2社が、所属タレントに渡していた「お年玉」を経費(交際費)として計上し、所得税の源泉徴収を行っていなかったとして、東京国税局による税務調査で計約4000万円を追徴課税されていたことが27日、関係者への取材で分かった。  

お年玉は毎年年始に渡され、2022年までの5年間で総額約9000万円に上ったという。

ジャニーズ事務所は資本金1000万円で法人税法上は中小企業として交際費を年間800万円までは損金に算入できるのですが、記事の書きぶりが、このお年玉の否認で「所得税を追徴された」となっているので、法人税においてはお年玉はそもそも損金に算入されていなかったと考えられます。(お年玉以外の交際費が巨額で年間800万円の損金枠をはるかに超えていたとか)

となると、実地調査において国税局の調査官がいくら「このお年玉は会社の経費ではない」といっても、もともと法人税計算上の経費になっていないのですから法人税の追徴はできません。

そこで、「このお年玉は社長の個人的費用だ」として社長の賞与に認定することで、社長個人の所得税を徴収しようと考えるわけです。

この辺は事実認定の話になってくるので当事者しか分かりませんが、「お年玉ののし袋に社長個人の名前が書かれていたから会社ではなく社長の個人的支出」などの認定に至ったのではないでしょうか。

もともと損金に算入されない交際費を、これまた損金に算入されない役員賞与と認定しているので、法人税上はプラマイゼロ。社長の賞与の源泉所得税の追徴が4000万円発生したと。

ところで、このお年玉を各タレントへの給与(賞与)とする考え方もあります。

その場合、従業員賞与については損金に算入されるので、9000万円分の経費が増えることになり、多額の法人税の還付となります。各タレントの賞与についての源泉税もわずかに発生しますが、社長に比べればはるかに少額でしょう。

4000万円の税負担が生じてたとしてもお年玉として渡すことが重要なのかな。

もらう方は、年末の賞与としてもらった方が税負担分も上乗せで多くもらえて喜ぶと思うんだけど??

ジャニーズ事務所がお年玉を交際費としていたところ国税局から追徴課税されたとのニュースについて国税OB税理士が解説” に対して2件のコメントがあります。

  1. とおりすがり より:

    私も従業員賞与になぜしなかったのか?と思いましたが、
    ネット情報ですが、ジャニーズの芸能人は皆さん個人事業主だそうで
    ジャニーズの社員ではないらしいのですよね。
    社長さんは労務の対価でない支出=交際費って思ったんでしょうか

    1. 担当U より:

      なるほど。
      そうすると社長のポケットマネーから払うしかないですね。
      広告代理店とか含めて他のすべての取引先にお年玉を渡すなら交際費として認められる余地はありそうですが。

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