消費税インボイス制度~10月1日から登録事業者になるための登録申請期限は9月30日まで延長されたのでそれまでは様子見で安心は本当か?

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
インボイス制度については、昨年12月に公表された税制改正大綱にさまざまな緩和措置が盛り込まれるなどされたことから、特に、登録しようかどうか迷っていた一部の免税事業者の新規登録を後押ししたのではないでしょうか。
ところで、本年10月1日の制度開始日から登録事業者になるための申請期限が、当初の3月31日から9月30日に実質的に延期されたところですが、ぎりぎりまで様子を伺っていると思わぬ不利益を被るかもしれません。
登録申請期限について
制度開始日から登録事業者になるためには、本年3月31日までに登録申請の必要があるとされていました。
これが、先般の税制改正大綱を受けて実質的に9月30日まで延長となっています。
当初は↓でした。
国税庁インボイスQ&A
令和5年3月 31 日までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合に、令和5年9月 30 日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長により適格請求書発行事業者の登録を受けたときは、令和5年 10 月1日に登録を受けたこととみなされます(改正令附則 15)。
なお、「困難な事情」については、その困難の度合いは問いません(インボイス通達5-2)。
これが↓に。
国税庁HP(こちら)
令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する困難な事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする。
よって、令和5年9月30日までの申請については、自動的に制度開始日の令和5年10月1日を登録開始日として登録されることとなります。
9月30日に登録申請した場合どうなるか
では、期限ぎりぎりの9月30日に登録申請をしたらどうなるか。
登録日が10月1日だとしても、登録番号が発行されて手元に届くには一定の時間を要します。
現時点では、e-Taxで3週間、書面では1か月半かかるとされています。
仮に9月30日時点でも同様の状況にあるとすれば、9月30日に登録申請した場合、10月1日から登録番号が発行されるまでの売上についてはインボイスを発行できません。
後から遡って消費税部分を請求することは可能ですが、売上先への対応や請求書の再発行処理など大変な手間がかかってしまいます。
まとめ
もともと課税事業者であるなら様子見をする必要はなく、早めに申請を済ませた方が無難です。
免税事業者で登録を迷っている場合は、検討の時間が増えたということなので、緩和措置も考慮した上での税負担シミュレーションをしたり、取引先と話し合ったりして、登録事業者になると決めた場合には、遅くとも7月~8月には登録申請を完了させるのが良さそうです。