電子帳簿保存法改正への対応

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
法人や個人事業者にとって、今年はインボイスへの対応準備のラストイヤーですが、実はもうひとつ重要な対応事項があります。
それは改正電子帳簿保存法への対応。
令和4年1月1日から施行されているこの改正法、届け出なしで帳簿書類の電子保存が可能になるなど一見して納税者有利の便利な法律ですが、
「電子データで収受した請求書や領収書は検索要件等の保存要件を満たした上でのデータ保存が義務付けられる」
という面倒な規定が盛り込まれたのです。
この「一定の検索要件」を満たすためには新たなシステムの整備等が必要になったりと、多くの事業者で対応が間に合わなかったことから、2年間の宥恕期間が設けられています。
当時は2年もあるからまだまだ先の話だと思っていましたが、あっという間に今年いっぱいが期限です。
(改正電子帳簿保存法に関する過去記事はこちら)
令和5年税制改正大綱の内容
上記の宥恕期間は当初の予定どおり今年いっぱいで廃止となりますが、やはりというかなんというか、対応が遅れていることへの対策として、こちらもインボイス同様の緩和措置が発表されています。
それが一定の者については保存要件のうち検索要件を不要とするもの。
検索要件が不要となる対象者
税務調査の際のデータのダウンロード要求に応じることができる①、②いずれかの保存義務者
① 売上5000万円以下。
② データを出力した書類を、取引年月日・取引先ごとに整理して保存し、調査の際に提示することができる。
取引先が多い場合には、②の「紙書類を取引先ごとに整理して保存」することはかなり煩雑になり現実的ではないので、いずれも小規模でシステム対応が難しい企業のための緩和措置ということです。
また、以下の猶予規定も新たに設けられました。
検索要件を含めた保存要件すべて不要となる対象者(①、②のいずれも満たす者)
① 所轄税務署長が、保存要件を満たせなかったことについて相当の理由があると認める。
② 調査の際には、データのダウンロードや出力された書類の提示等の求めに応じることができるようにしている。
①の相当の理由がどんなものかは現時点では不明です。しばらくすると国税庁HPにQ&Aが公表されると思うのでそれを待ちます。
まとめ
新たな猶予規定の詳細もわからないため、できる限りのことは対策しておくのが安心です。
特に取引先が多い企業はできるだけ早めの対策が推奨されます。
ただ、電子データで請求書や領収書を経常的に収受するような企業でなければそこまで慌てる必要はありません。
たまに経費等の電子請求書等を収受するような事業者であれば、日付と取引先が判別できるようなファイル名(050120取引先名.pdf等)で保存し、一定の事務処理規定を整備しておくだけです。
くわしくはこちら(出所:国税庁HP)