年金から天引きされている後期高齢者医療制度の保険料を口座振替により支払うと節税になるという話

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。

健康保険や年金などの公的な社会保険料については、所得税法上、社会保険料控除としてその支払った全額が所得から控除されます。

民間の生命保険等については、生命保険料控除として支払額のほんの一部しか控除されませんが、社会保険料は全額控除なので所得控除の中でもかなり大きなウェイトを占めるのです。

イメージとすれば、生命保険料では50万円支払っても税金は1万5千円しか減少しませんが、社会保険料50万円支払った場合にはその10倍の15万円税額が減少するといった具合。((注)あくまでイメージでその人によって金額は異なります)

自身が支払った社会保険料以外にも控除できる社会保険料があればその減税効果はかなり大きいということです。

家族分の社会保険料を支払った場合にも対象になる

自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。

別居している大学生の子どもの国民年金を払ったり、同居している自分の両親の社会保険料を払った場合には、その支払った人が自分の社会保険料控除として適用できるということですね。

ただし、例えば、給与や年金から天引きされた社会保険料については、その給与や年金の受給者自身が支払ったということになるので、その人以外には社会保険料控除を適用できません。

口座振替として支払われた場合には、その口座の名義人が控除を受けることができます。

年金から天引きされている後期高齢者医療保険料

75歳以上の両親を扶養にしている方は、その両親の後期高齢者保険料や介護保険料を支払っていれば社会保険料控除を受けることができますが、一部の例外を除いて、これらの保険料は年金から天引き(特別徴収)されています。

さきほどもいったように、年金から天引きされた保険料については、扶養している人の控除に含めることができません。

では、どうするか。

実は、年金から特別徴収されている後期高齢者保険料については、市町村に申し出ることにより、口座振替等の普通徴収に変えることができるのです。

このとき、振替口座を両親を扶養する人の口座とすれば、その扶養している人が社会保険料控除を受けることができるようになるということ。

後期高齢者医療保険は均等割りとあわせて5万円以上になることも多く、減税効果は小さくありません。

後期高齢者医療制度の保険料に係る社会保険料控除

Q. 後期高齢者医療制度の保険料を、年金から特別徴収された場合と口座振替により支払った場合で、社会保険料控除の取扱いはどのようになりますか。

A. 社会保険料控除については、居住者が、各年において、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った者に社会保険料控除が適用されることになります。
 平成20年4月から実施されている後期高齢者医療制度では、原則として、その保険料が年金から特別徴収の方法により徴収されています。この場合、その保険料を支払った者は年金の受給者自身であるため、その年金の受給者に社会保険料控除が適用されます。
 一方、平成21年4月以降の保険料については、市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できることとされました。この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者または被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限ります。)に社会保険料控除が適用されます

(出所)国税庁HP

同じく年金から天引きされている介護保険料について

年金からは同じく社会保険料控除の対象となる介護保険料も天引き(特別徴収)されています。

こちらについては、申し出により特別徴収を普通徴収に変更することはできないようです。(後期高齢者保険料と同様のスキームで減税効果を得ることはできないということ)

その理由については次回へ続く。

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