年金から天引き(特別徴収)されている介護保険料はなぜ普通徴収へ変更できないのかという話

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。

年金から特別徴収されている後期高齢者医療制度の保険料は普通徴収を選択できる(結果として所得税法上の社会保険料控除を扶養者が適用できる余地がある)のに、同じく原則的に特別徴収されている介護保険料はなぜ普通徴収を選択できないのか、について調べてみました。

過去記事はこちら

市町村の回答は

Q, なぜ年金から介護保険料を天引きするのですか。

A. 介護保険料の納付方法は介護保険法に規定があり、年金からの天引き(特別徴収)が第一順位になっています。これは、高齢の方が金融機関(銀行等)で納付する手間を省くとともに、収納関係経費を抑え、確実な収納を行うためです。 なお、年金から天引き(特別徴収)できる場合は自動的に行われますので、特に手続きは必要ありません。 また、ご希望によって普通徴収に変えることはできないことになっています。

これはとある市町村のHPに掲載されているFAQです。

大体どの市町村も同じような回答ぶりです。

実際の法律での規定ぶりはどうなっているのか?

後期高齢者制度保険料の根拠法は「高齢者の医療の確保に関する法律」、介護保険料は「介護保険法」となっています。

それぞれの法律の条文の中から、保険料の徴収の方法についての条文を探してみると、

高齢者の医療の確保に関する法律第107条、介護保険法第131条(保険料の徴収の方法)

市町村による・・・保険料の徴収については、特別徴収の方法による場合を除くほか、普通徴収の方法によらなければならない。

いずれの法律でも同じ規定ぶりで、これだと特別徴収もあるけど原則は普通徴収という感じ。

しかしながら、介護保険法にはこんな条文がありました。

介護保険法第135条(保険料の特別徴収)

市町村は、・・・被保険者に対して課する当該年度の保険料の全部を、特別徴収の方法によって徴収するものとする。ただし、・・・被保険者が少ないことその他の特別の事情があることにより、特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、特別徴収の方法によらないことができる。

介護保険法にはこの条文があるので、特別徴収が義務付けられており、この条文がない後期高齢者制度の保険料については、特別徴収と普通徴収を選択できるということなのかな。

ちなみに、後期高齢者~法では特別徴収を原則とするような条文はなく、特別徴収による場合には「介護保険法の規定を準用する」となっています。

まとめ

それぞれの法律の規定がそのようになっているというのは理解できましたが、なぜ、介護保険法だけが特別徴収を第一順位としているのかについては疑問が残ります。

市町村の回答による、「高齢の方が金融機関(銀行等)で納付する手間を省くとともに、収納関係経費を抑え、確実な収納を行うため」というのは、後期高齢者制度も同じだと思うので。

とりあえず、税務面としては、後期高齢者医療保険は普通徴収の選択ができるが、介護保険料はできないということで整理しておきます。

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