パワーストーンを大量に仕入れたように装って消費税の不正還付を受けようとした事件について国税OB税理士が解説

こんにちは、長野県須坂市の植木税務会計事務所です。

先日、合計7億5千万円もの消費税の不正還付申告を行ったなどの消費税法違反の疑いで、スキームの指南役と実際に不正還付申告書を提出した6法人が東京国税局に告発されたとの報道がありました。

架空のパワーストーンを仕入れたように装い、仕入にかかった消費税の還付を受けようとしたとのこと。

還付申告書提出から不正発覚までの流れ

消費税の還付申告書が提出された場合、還付を行う前に税務署は必ず内容を審査します。

今回の件でいえば、パワーストーンの仕入の事実はもちろんのこと、実際に支払いが行われているか、パワーストーンの売上はどのようになっているか、などを確認するために証拠書類の提出を求めたはず。

大量のパワーストーンの仕入があるにも関わらず、対応する売上が計上されていないとなれば当然におかしいなとなり、実地調査に着手して不正の全容解明という流れかと。

おそらく、今回告発された6社のうちの1社について上記のような流れの中で不正還付と指南役の存在が発覚し、国税局間で情報共有した上で、消費税専門官などを中心として一斉に連携調査を行なったのでしょう。

消費税法違反とは?

今回、指南役の話にのって告発された会社の社長の一人は、「消費税の不正還付を取り締まる法律はないと聞き、信じてしまった」といっているとか。

ちなみに消費税法にしっかりと罰則規定が置かれています。

結構厳しめの罰則なんですけどね。

消費税法第64条

第六十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 偽りその他不正の行為により、消費税を免れ、又は保税地域から引き取られる課税貨物に対する消費税を免れようとした者

二 偽りその他不正の行為により(消費税の)還付を受けた者

 前項第二号の罪の未遂(・・略)は、罰する。

まとめ

消費税の不正還付については、10年くらい前に「未遂」でも取り締まれるように法律が改正されており、近年では、主要税務署に消費税専門官が配置されるなど、国税当局も対策を強化しているのですが、消費税の不正還付は後を絶ちません。

最近では、単なる設備投資でなんの問題もなさそうな還付申告書についても、証拠書類の追加提出を求められたり、還付までの期間が長期化するなど、大多数の善良な納税者にはいい迷惑です。

ものすごく不評なインボイスについても、不正還付への対処の側面もありますし。

とはいえ、不用意に還付されても困るし、仕方ないですね。

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