消費税インボイス制度~免税事業者が新たに課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整について

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
今年は、インボイス制度が始まることにより、これまでの消費税免税事業者から新たに課税事業者になる事業者が急増すると思われます。
課税事業者になると、消費税を計算して申告・納税する必要が出てくるのですが、この消費税の計算について、中小事業者においては、おおまかに二つの計算方法から選択採用することになります。
ひとつは、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いて納税額を計算する原則課税という方法。
もうひとつは、売上にかかる消費税から割合で納税額を計算する簡易課税という方法(インボイス緩和措置の一定期間2割納税も含む)です。
当然納税額が小さくなる方法をシミュレートして選択するのですが、原則課税を選択することになった場合は棚卸資産の調整計算を忘れずに行うことにより納税額を少なくすることができます。
免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整とは
免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整(出所:国税庁HP)
免税事業者が新たに課税事業者となる場合に、課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産のうちに、納税義務が免除されていた期間において仕入れた棚卸資産がある場合は、その棚卸資産に係る消費税額を、課税事業者になった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなして仕入税額控除の対象とします。
10月1日からインボイス登録事業者になった場合、同日以降課税事業者となり、売上には消費税がかかり、仕入はその消費税を控除できるのですが、9月30日時点で保有していた商品や原材料などの棚卸資産についても、その消費税を仕入にかかった消費税として控除できるということです。
この調整をしていなくも、税務署から指摘されることはないと思いますので、損しないようにチェックしましょう。
ちなみに、上記とは逆に、課税事業者が免税事業者になった場合には、その課税事業年度末に保有する棚卸資産にかかる消費税は仕入税額控除することはできず調整が必要になるのですが、この調整を忘れた場合には国の税収減になる誤りであり、調整を忘れた事業者に対しては税務署から厳しい指摘が入ります。