国税庁が調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例を公表

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。

国税庁が、調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例トップ10を公表しました。

実地調査での指摘事項ではなく、国税職員が申告書の内容をチェックする中で把握した単純なミスを多い順番から紹介したものです。

調査課所管法人とは

調査課とは国税局にある部署の一つで、原則として資本金1億円以上の大企業の管理や調査を担当するところです。

国税局の上位にある国税庁は基本的に個別の法人を所管しないので、どんな大企業であってもその本店所在地を管轄する国税局の所管になります。

例えば、長野県に本店があるセイコーエプソンやツルヤなどの大企業については、関東信越国税局の調査課の所管になるということですね。

調査課所管の法人は規模が大きいので、税務署の調査よりも多人数(国際担当やICT担当なども入れて10人以上になることも!)で、長期間にわたり実施されることに。また、審理課という審理専門部署もあり、より精緻に申告内容の確認が行われることになります。

誤りが多い事例

1位 外国税額の控除等に関する誤り

 中小企業の申告書ではあまりなじみがないですが、調査課所管法人となるとこちらの誤りが堂々の?1位となっています。

 事例として紹介されているのは、「外国法人税に該当しない税を記載していた」、「納付外国法人税額の税率が租税条約の限度税率を超えていた」など、比較的単純な誤りですが、外国税額控除関連は難しい内容が多く、ちょっとした誤りでとんでもない税額の過少(過大)申告につながる恐ろしい項目なので細心の注意を払う必要があります。

2位 法人税額等の計算誤り

 中間申告税額の記載もれや地方法人税の計算もれなどのおそまつな内容に加えて、期末資本金の額等が1億円超の法人等であるにもかかわらず、年 800万円以下の所得について軽減税率を適用していたというものがありました。

 期末資本金が1億円以下の法人であっても、大規模法人との間に一定の支配関係があるような法人は、中小法人にのみ認められる軽減税率の適用はできません。

 このあたりを失念していることが誤りの多さに繋がっていると考えられます。ちなみに、このような法人は交際費についても大企業と同様に原則損金不算入となるので注意が必要です。

3位 所得金額の計算・利益積立金額等の計算に関する誤り(別表四・別表五(一))

 調査課所管法人については、会計と税務の乖離が大きくなりがちなので、別表四、五の調整が複雑になることもあって、誤りが増えるのは致し方ないところかと。

4位以下については、申告書を見るだけで明らかに誤りが分かるような単純な事例が並んでいます。

 → 国税庁HP「調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例」

 

まとめ

集計対象となった調査課所管法人の申告書の実に6割でこのような単純な誤りが把握されたとのこと。

単純な誤りとはいえ、税額が大きくなれば、調査として指摘され、多額の追徴税額が発生する可能性もあります。

今回公表されているような単純な誤りのほとんどは、国税庁ホームページ上にある「申告書確認表」(上記リンク先からアクセス可)をチェックするだけで防ぐことが可能になっているので、税理士非関与法人の経理担当者にはおすすめです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です