重加算税の本当の怖さについて国税OB税理士が解説

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
税務調査で不正がばれると、通常の過少申告加算税10%に変えて35%の重加算税が課されるのですが、実はそれ以外にも法人に対して深刻なダメージが生じることがあります。
①延滞税が跳ね上がる
重加算税が課せられると、加算税は3.5倍になるのでインパクトは大きいです。
しかし、そこにさらに追い打ちをかけるのが延滞税の存在です。
数年前の申告もれを後になって指摘され、その申告もれになっていた期間に応じて延滞税がかかるのは酷だということで(調査の時期によって不公平なので)、通常の修正申告に係る本税に対しては、延滞税がかかるのは1年間のみとされています。
しかし、これが重加算税の対象となる本税については適用されず、7年前の修正申告に対しては7年間分の延滞税がかかることに。

↑ざっくりこんなイメージ
重加算対象だと7年遡及されるし、重加算税も延滞税も法人の損金にはならないしで、その金銭的なダメージは絶大です。
②青色申告が取り消しになる可能性
重加算税が課せられるということは青色申告の取消の可能性もあります。
青色申告が取り消されると、欠損金の繰越控除ができなくなったり、減価償却費の特例が受けられなくなるなど、影響は大きく、1年間は再申請もできません。
仮に税務調査で重加算税やむなしとなっても、この青色申告取消はなんとかしたいところですが、取り消しになる金額基準も事務運営指針として公表されているので、要件に合致してしまったら交渉の余地はないのが現実です。
③実地調査の頻度があがってしまう
過去に重加算税を課されたということは、調査選定が行われる際においてかなり大きなウェイトを占めることになり、実地調査の頻度があがります。
税務調査はないことに越したことはありません。
④査察がくるかも
税務署の調査で、不正の一部しか見つからず、重加算税を納めてひと安心と思っていると、後日、国税局の査察が大勢でやってくるかも。
もちろん、大々的に不正に手を染めている法人でなければ心配する必要はありませんが。
税務署での重加算税事案は国税局に報告されるので、それを国税局の査察担当が手持ちの情報と照合して、さらなる不正が見込まれるとなれば、強制調査で着手をということです。
まとめ
日ごろ適正申告していれば全く問題ありませんが、なんらかの不正経理をやってしまった場合には、影響大の重加算税や延滞税を避けるために、税務署から何らかのアクションがある前に自主的に修正申告してしまうのが一番です。
加算税はまったくかかりませんし、延滞税も最小限で済みます。
税務署から電話があったら、話も聞かずに電話を切り、すぐさま修正申告したという強者もいたとかいないとか。
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