小規模企業共済は個人事業主の節税に最適なのか

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
小規模企業共済とは、国の機関である中小機構が運営する制度で、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための積み立てによる退職金制度です。
掛金は月5000円から70000円まで自由に設定できることや、その掛金全額が所得控除でき、将来の積立金受取時にも税優遇があることから高い節税効果があり、個人事業主等の節税策として人気です。
しかしながら、メリットがあれば当然デメリットもあります。
小規模企業共済のデメリット
① 途中解約すると元本割れする可能性
掛金納付月数が240ヶ月(20年)未満の場合は返戻金が掛金合計額を下回る元本割れのリスクがあります。返戻率は、加入期間が短いほど小さくなる仕組みです。
事業に万が一の際には貸付制度を利用して事業資金を確保することが可能ですが、運用利率を上回る利息がかかります。
② 運用利率が低い
安全な債券中心の運用となっていることから、予定利回りは1%程度です。iDeCoやNiSAのように、必要なリターンのために適切なリスクを選好することができません。
③ 最終的な利回りに影響する毎年の節税効果は所得金額によって変化
小規模企業共済の最大のメリットである掛金の所得控除による節税効果は、事業主の所得金額によって大きく変わります。
売上が減少した、こどもの成長で扶養控除が増加した、などによって所得金額が減少すれば、当初想定していた節税効果を得ることができず、②の低い運用利率と相まって、インフレ下では元本の目減りリスクがあります。
まとめ
小規模事業主のための節税と資産形成については、小規模事業共済の他にも、iDeCoやNiSAといった選択肢があります。
いずれも、何十年といった長期間にわたる資産形成を目的としたもので、個人事業主にとって魅力的なものですが、リスク、利回り、流動性などはそれぞれ一長一短なので、自信のライフプランに合わせて適切なものを選択または併用する必要があります。