異次元の少子化対策(高校生への児童手当拡充)と税金の関係についての話

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
「異次元の少子化対策」が話題です。
所得制限を撤廃し、児童手当については高校生まで月に1万円を支給する方針とのこと。
児童手当と税金の関係性
ところで、この児童手当については、税金と密接な関係があります。
それは、所得税を計算する際の扶養控除。
中学生以下のこどもについては、児童手当の対象であることを理由に扶養控除の対象にならず、高校生のこどもについては、児童手当が支給されないので扶養控除の対象になっています。
(ちなみに、所得制限のため児童手当をもらえない家庭においても扶養控除は認められないという高所得世帯にとってはちょっともやっとするしくみ)
ということは、今回、高校生に児童手当月1万円が支給されるとすれば、これまでの仕組み上、高校生のこどもは扶養控除の対象から除外されるということ。
異次元の少子化対策で実際どうなる?
年収700万円くらいの共働き世帯で高校生のこどもありで考えてみます。
その所得税と住民税の限界税率は30%程度。
扶養控除の38万円がなくなるとすれば、38万円×30%で約11万4千円の増税に。
さらに、財源として社会保険料が月500円程度増額されるとのことなので、これが年間6000円で合計約12万円。
児童手当年間12万円もらっても、扶養控除がなくなる増税の影響と打ち消しあってしまい、恩恵はなしという結果に。
より高所得の世帯ではさらに限界税率が高くなるので、扶養控除がなくなる増税の影響がこども手当の額を上回ってむしろマイナスです。
また、所得税と住民税率が下限である15%の人でも、5万7千円の増税となり、児童手当の恩恵は半分程度となります。
まとめ
仮に今、扶養控除の見直しが行われなくても、将来的には必ず調整が入ることは間違いなし。
そんなプラスになるかマイナスになるかわからないような手当を見込んで少子化が解消されるとはとても思えません。
これから親になろうとする世代を甘く見すぎ。
政治家も官僚も頭いいんだからもう少し考えてほしいですね。