令和4年度 査察の概要

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
国税庁から令和4年度査察の概要がリリースされました。
令和4年度においては、全国で103件(脱税総額100億円)を検察庁に告発したとのこと。
また査察事案の一審判決は61件あり、そのすべてに実刑判決が下されたようです。有罪率100%!
査察の役割とは
通常の税務調査の件数と比べると査察調査の件数は随分少ないという感じがしますが、査察は、国税犯則取締法を背景にした徹底的な調査で、悪質な納税者に懲役刑や罰金刑などの重い対価を払わせることにより「脱税は割に合わない、やめておこう」と多くの人に思わせる一罰百戒の効果を発揮しています。
査察が積極的に取り組んでいる事案の傾向
「消費税」、「無申告」、「国際」の重点分野に積極的に取り組んでいるのは一般的な税務調査と同様ですが、その他、時流に即した社会的波及効果が高い事案ということで、トレーディングカード販売業者の事案が紹介されていました。
トレーディングカード販売業者の法人税ほ脱事案を告発
G社は、トレーディングカードゲームの小売を目的とする店舗を全国に展開し、各店舗においてイベントを行っているものですが、取引事実のない虚偽の領収書等を作成して、架空の仕入高を計上する方法により所得を秘匿し、法人税を免れていました。
ポケモンカードがとてつもなく高騰するなど話題ですが、査察に「社会的波及効果が高い事案」と紹介されるぐらいなので、取扱い業者は相当景気がよいのでしょう。
まあ仕入値10万円のカードが突如500万円とかになるような世界では、架空の仕入れを計上してでも利益操作したくなる気持ちはわからなくもない?
【過去記事】
人気YouTuberがポケモンの超絶レアカードを5000万円で購入したら、その原価は180万円だったらしいというニュースを税務職員がみたら
人気YouTuberがポケモンの超絶レアカードを5000万円で購入したら、その原価は180万円だったらしいというニュースを税務署の職員が見たら②
さいごに
査察なんてないないと思っている大多数の納税者にとっても、査察事案の動向は参考になります。
査察が直近の年度で積極的に取り組んだ、「消費税」、「無申告」、「国際」、「トレーディングカードなどの好況業種」に加えて、告発件数上位の「不動産業」や「建設業」は、一般の税務調査でも重点分野として税務署が力をいれてくるので。