【最新版】改正電子帳簿保存法への対応策(前編)

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
今年もあっという間に半分が終わってしまいましたが、残りの半年、法人も個人事業者も、10月からのインボイス開始への対応しつつ、来年の令和6年1月1日からやってくる改正電子帳簿保存法への対応も気にしていかなければなりません。
令和4年1月1日からの予定だったのが2年間延期されていましたが、令和5年度税制改正大綱ではかなりの要件緩和が盛り込まれたため、適用期限の再延期の期待感は消失し、来年1月からの適用開始はほぼ確実です。
改正電子帳簿保存法への対応については、これまでも何度か取り上げてきましたが、改正電子帳簿保存法は①電子帳簿等保存(希望者のみ)、②スキャナ保存(希望者のみ)、③電子取引データ保存(すべての法人・個人事業者)の3本柱で成り立っており、すべての事業者が気にしなければならないのは③の電子取引データ保存となっています。
電子取引データ保存の概要
事業者が、取引情報(商品名、金額、取引日時など請求書や領収書などに通常記載される情報)を電子取引で受け取った場合には、その取引情報をデータのまま、一定のルール(検索機能、改ざん防止)に従って保存しなければいけないという制度。
Amazonなどで消耗品を購入した際に請求書をメールで受け取ったような場合もこれに含まれるため、ほとんどの事業者が無関係でいられない。
そして、事業者の対応策としては、
① 法令の要件に沿った保存をするために新たにシステムを導入。
② 新たなシステムは導入せず、エクセルやワードを利用して検索簿と事務処理規定を作成することで対応。
③ 売上5000万円以下の事業者は検索要件不要となるので、事務処理規定のみを作成すればOK。
④ データ出力した書面を日付や取引先ごとに整理しておけば検索要件不要となるので、事務処理規程のみを作成すればOK。
⑤ 電子取引データを法律の定めのとおり保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)は検索機能も改ざん防止も不要となるので、何も対応しない(単純にデータ保存)。
のいずれかが考えられます。
①は電子取引が多く資金的にも余裕のある大企業向けであり、世の中の9割以上を占める中小企業については、②か④までが現実的に対応可能なところでしょうか。
できれば、⑤に該当することで「何にもしなくてよい」が最適解であり、その要件である「所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合」がどんなものであるかがとても重要になってきます。
~つづく~