【最新版】改正電子帳簿保存法への対応策(後編)

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。

改正電子帳簿保存法については、今般、国税庁ホームページでQ&Aが改訂されて情報がでそろいました。

ほとんどすべての法人や個人事業者が無関係ではいられないのですが、電子取引データを法律の定めのとおり保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合は、検索機能も改ざん防止も不要となるので、結果として何も対応しなくてもよい(単純にデータ保存は必要)ことになっています。

そこで、「相当の理由」とは何ぞやとなってきます。

令和5年税制改正大綱:電子帳簿保存制度の見直し関係(抜粋)

申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録のダウンロードの求め及び当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする。

相当の理由があると認められる場合

この相当の理由については以下のような場合が相当の理由があると認められます。

  • システムや社内のワークフロー整備が間に合わない
  • 資金的な問題や人手不足

なお、税務署に事前に申請等は必要なく、税務調査の際などに聞かれた場合には、対応状況や今後の見通しを説明すればOKとなっています。

相当な理由があると認められない場合

以下のような場合については、相当な理由があるとは認められません。

  • 令和5年の税制改正前から要件に従った保存はできていたが、その後のシステム更改によって検索要件を満たさなくなった。
  • 会社としては要件に従った保存ができる体制が整っているにも関わらず、社長の方針で保存を行わない。

まとめと注意点

ということで、ほとんどの中小事業者にとっては、「システムや社内のワークフロー整備が間に合わない」という理由により、当面は、特段の対応をしなくても大丈夫ということになりました。

注意点としては、これまでのように電子データを出力した書面だけを保存しておけばよいというわけではなく、(検索機能や改ざん防止は不要であるが)あくまでも電子データの保存が必要だということ。

そして、税務調査の際には、出力した書面と電子データを整然とした状態で税務職員に提示する必要があるので、出力書面についても、他の税務関係書類と同じようにきちんと整理して保存しておきましょうということです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です