消費税インボイス制度と独禁法との関係に要注意

こんにちは、長野県須坂市の植木税務会計事務所です。
10月から開始するインボイス制度に関して、日本たばこ産業(JT)が、インボイス登録しない葉タバコ生産農家に対して、取引価格を引き下げると一方的に伝えていたとして、公正取引委員会から注意を受けたとの報道がありました。
これまでも、何度となく取り上げてきている話題ですが、多くの事業者にとって他人事ではないですね。
実際に、インボイス制度開始後、免税事業者からの仕入についてどうするか聞いてみると、「消費税分、取引価格を引き下げてもらう」と回答する事業者さんは少なくありません。
この場合、仕入れ先との協議を経ずに「インボイス登録しない場合、代金から消費税分を全額引き下げる」と一方的に伝えたような場合には、下請法や独占禁止法に違反する恐れがあるということです。
免税事業者からの仕入についても、3年間は8割、その後3年間は5割については、仕入税額控除できるという特例もありますし、控除できない消費税分については経費となって法人税や所得税の減少をもたらす点も考慮すれば「代金から消費税分を全額引き下げる」という考え方はもはや通りません。
今回の報道事案でも、公取委からの注意勧告を受け、JTと農家側は引き下げ額を小さくすることで合意したとのことです。
インボイス制度開始まであと1か月、免税事業者である取引先との取引価格については、よくよく話し合っておかないと思わぬ不利益を被ってしまうかもしれません。