税金を滞納するとどうなるか②

こんにちは、長野県須坂市の植木税務会計事務所です。
国税庁より「令和4年度租税滞納状況の概要」が公表されています。
税務調査と違い、国税の滞納処分についてはあまりニュースとして報道されることもないのですが、国税庁は、期限内に納税した納税者との公平性の確保を図る観点から、悪質な滞納事案に対しては、さまざまな手段を講じて対抗しています。
今回の「令和4年度租税滞納状況の概要」には、そのような知られざる悪質滞納者への処分事例がいくつか紹介されています。
国税徴収法違反(滞納処分免脱罪)により告発した事例
①滞納法人の代表者は、知人Aが滞納法人の事業を個人事業として引き継いだように装い、取引先に対してA名義で工事代金を請求し、Aに対する売掛金の支払として小切手を振り出させるなどした。
② 代表者は、取引先に振り出させた小切手を銀行に持ち込んで現金化し、代表者の居所にある金庫で保管していた。
③徴収職員は、上記の行為が滞納法人に対する滞納処分の執行を免れる目的でされた財産の隠蔽に該当すると判断し、滞納法人及び代表者を国税徴収法違反(滞納処分免脱罪)で告発した。
租税条約に基づく徴収共助を要請した事例
①滞納者は確定申告行ったが、その国税を納付せずにX国へ出国した。
② 国税当局は、X国との租税条約に基づき、X国の税務当局に対して、徴収共助の要請を行った。
③ X国の税務当局が滞納者に納付させた後、X国の税務当局から納付額の送金があり、滞納国税の全額を徴収することができた。
第二次納税義務を賦課した事例
① 滞納法人は、滞納発生後、既に廃業して納付が困難であるとの申出をしていたが、調査の結果、代表者が滞納法人の資金を私的に流用し、流用した資金で得た財産を無償で妻に譲渡していたことを把握したため、代表者及び代表者妻に対して第二次納税義務を賦課した。
※第二次納税義務:本来の納税義務者から徴収することができない場合に、その納税義務者と特殊な関係にある者 等を第二次納税義務者とし、その者に本来の納税義務者の納税義務に代わる義務を負担させることによって、租税の徴収確保を図るもの。
② 第二次納税義務を賦課した後も、代表者は納付意思を示さず、税務署に対して反社会的勢力者の名刺を同封した抗議文を送付するなど、執拗な脅迫等を行った。
③ これらの行動に組織として厳正に対処すべく、脅迫罪について警察当局に相談するとともに、警察官の立会いの下、代表者宅の捜索を行うなどし、さらに調査を進め、滞納額の全額を納付させるに至った。