物価上昇局面で税制はどのように変わるのか

こんにちは、長野県須坂市の植木税務会計事務所です。

政府は、昨今の物価上昇を踏まえ、税制においても長年にわたって据え置かれていた控除額などの見直しを進めています。

まずは、基礎控除と給与所得控除が見直されました。

今年の年末からですが、それぞれ10万円控除額が引き上げられ、これまで給与103万円までが所得税のかからない最低ラインだったのが、123万円になります。(特例として所得によるさらなる基礎控除の増額あり)

以上はすでに確定した事項ですが、来年の税制改正にあがってきそうなその他の控除もあるようです。

自動車通勤に係る通勤手当の所得税非課税限度額の引き上げ

現在は、2Km~10Kmの通勤手当は4,200円までなど、実費精算的な意味合いで所得税が非課税となる通勤手当ですが、これは10年以上も変わっていません。

通勤手当の非課税額が引き上げられれば、従業員にとっては給与の引き上げよりも実質の手取りが増えるし、支払う法人にとっても消費税の課税仕入れが増えることによって納税額が軽減されるのでいいことづくめです。

ただ、社会保険料の基準には通勤費が含まれてしまうんですよね。これはおかしい話ですし、この機会に何とかしてほしいところです。

食事支給に係る所得税非課税限度額の引き上げ

これは、上記の通勤手当ほどなじみがないかもしれません。

役員や使用人に1か月当たり、弁当の提供や契約食堂での食事の提供による食事の支給をした場合で、

①役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担すること

②実際の食事代から①を引いた額を月額3,500円が以下であること

この要件を満たしていれば、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されるということです。

月22日出勤とすれば、1日あたりの補助は160円ですから、現代の昼食代事情を考えるとかなりかけ離れた水準ですが、それもそのはず、この金額についてはなんと40年以上も据え置かれているのです。

まとめ

今後、令和8年度税制改正大綱に向けて各方面から要望があがり、議論が進められていくわけですが、物価上昇対策としていろいろ税制を活用していくのはいいのですが、実際に物価上昇の影響を一番大きく受けているであろう地方の中小企業やそこで働く従業員の方々に大きく恩恵がいくような改正を期待したいところです。

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