【過去記事PICK UP】節税、脱税、租税回避の違いとは?〜国税OB税理士がわかりやすく解説

こんにちは、植木税務会計事務所です。
節税、脱税、租税回避の違いについて整理してみました。
節税は適法
節税とは「税法がもともと予定している各種控除や減税手段を採用して、税金を安くすること」です。
例えば、青色申告を採用して個人事業者が最大65万円の控除を受けたり、30万円未満の減価償却資産を一括経費で落としたりすることですね。
一般的な保険商品や設備投資などを利用して税負担の時期を繰り延べて調整したり、法人税と所得税などの税目間の税率差を利用して全体的な税負担を軽減するのも節税に該当します。
納税は事業活動において少なからずキャッシュフローに影響を与える項目ですから、適切な節税を行うことで、事業の資金繰りの改善にも繋がります。
脱税は違法
脱税とは、「税法が予定している課税が発生する要件を仮装や隠ぺいによって免れる行為」です。
例えば法人税法では、法人の所得金額が課税要件の一つですが、この所得金額を仮装したり隠ぺいすることです。
具体的には、会社の売上を簿外口座に入金させるなどして隠ぺいしたり、納品書等を仮装して架空の経費を計上したりすることで所得金額を少なくする行為がこれに当たります。
通常の税務調査でこのような行為を調査官に指摘されると、通常の過少申告加算税(10%)に代えて重加算税(35%)が追徴税額に加算されたり、場合によっては青色申告取り消しなど重いペナルティが待ってます。
脱税は割にあわないので絶対にやめましょう。
税務署勤務時代にも、調査で重加算税が見つかった事案などでは「なぜ税金を少なくするためにこのような方法を採ったの?他にいくらでも選択できる節税方法があるのに?」と思うことが多かったですね。
租税回避は合法だが適法か?
租税回避は一般的に「税法の課税要件を、税法が予定していない取引を用いることで免れる行為」と定義されます。
税法の抜け穴をついて、通常には考えられない極めて不自然な取引を行うことで、税金を免れようということです。
代表的なのは、法人税がかからない国に関連会社を設立し、これを利用して日本での税金を免れる行為などの国際的租税回避。
また、相続税のタワマン節税についても、節税とはいわれますが実際には租税回避。
租税回避については、税法に明確な否認規定がないのですが、そのまま放置すると税負担の公平を著しく損なうので、(税法改正で穴が埋められるまで)国税は手持ちの武器で徹底的に戦います。
まとめ
脱税はもちろんNGですが、租税回避についても税務調査で否認されない保証はありません。
節税した上できちんと納税するのが最善となりますが、節税のためにはなるべく余裕をもって準備することが重要です。申告間際などで急に節税策と言ってもやれることは限られてきますし。
特に、相続税については長期的な準備が非常に重要で、相続発生後にできることは、法律で認められている軽減規定をもれなく適用すること以外にほとんどありませんので早めに対策しましょう。