人気YouTuberがポケモンの超絶レアカードを5000万円で購入したら、その原価は180万円だったらしいというニュースを税務職員がみたら

こんにちは、長野県須坂市の植木税理士事務所です。
人気YouTuberが「ポケモンのレアカードを5000万円で買った」という動画を配信したのですが、そのカードの売り手であるカードショップの元経営者が、「カードは10年前に180万円で仕入れたもの」だと暴露し、炎上したというヤフーニュースの記事がありました。
こういう大金がからむニュースがあると、税務署の職員は必ずピクッとなります。
4000万円誤送金のニュースや1億円お年玉として配りますとかいうニュースもそうでした。
4000万円の方は、「最終的に返金されなかった場合、受け取った人物には所得税がかかるよね」とか、お年玉の方は、「払ったほうの経理処理とか、もらった方の贈与税はどうなるのかな」とか、もはや職業病です。
私もまだまだ職業病が抜けておらず、今回も、「おお、リザードンが5000万円とはすごい、自分のカード売れないか探してみよう!」と思うだけでなく、税務や会計といった違う視点からこのニュースを見ています。
カードを売ったカードショップ側とカードを買ったYouTuber側とでまた違う観点になるので、今回は、カードショップ側を考えてみました。
5000万円で売れたらどのくらい納税が発生するのか
このカードショップが法人とすると、売上が5000万円、その原価は仕入値180万円です。
共通経費は無視するとすると、この1枚の取引だけで、利益が4820万円も出ることになります。
法人税や地方税、消費税を合わせると納税額は2000万円近くになるのではないでしょうか。
それだけ税金払ってもうらやましいとか、税金高すぎとかいろいろ感想はあると思いますが、税務職員としての考えは違うところにあります。
突然多額の利益が出ることになったら会社はどうするか
会社は、できるだけ税金を抑えるための方策を考えます。
別に悪いことではありません。会社は、純粋経済合理人として税引き後利益の最大化を目指す存在ですから、合法な範囲内で可能な限り税金を抑えようとするのは当然です。
ただし、世の中には、合法の範囲を超えて、税金を少なくしようとする会社があるのもまた事実です。
税務職員は、適正公平な課税のために税務調査でそのような不正を是正するのも重要な仕事の一つですから、突然利益の出た会社の社長さんはこのような思考をするという前提に立ちます。

急にこんな利益がでるとは。税金がすごいことになるな。すぐ決算だし、どうしよう。

こんな急だとあまり効果的な節税策はないですね。

だよなあ。そうだ、税理士先生にはないしょで、期末の売上の一部を翌月に売り上げたことにしよう。あとは、棚卸しの在庫を半分にしてと。
「突然、多額の利益が出たのだから、税金を少なくするためなにかやっているのではないか?やっているに違いない」ということですね。
というようなことを、税務署時代の職業病が抜けきらない私が、この記事を見て考えたという話でした。
5000万円での購入について
今回のニュースでは、買った方についても税務・会計上の視点から考えることができます。
個人的支出か事業関連費か、事業関連費ならどのような経費OR資産になるのか、売却時にはどのような課税が生じるか等々です。
次回に続く。
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