消費税インボイス制度が及ぼす影響〜インボイスを発行できない個人から仕入れを行う業種はどうする?

こんにちは、長野県須坂市の税理士事務所、植木税務会計事務所です。

消費税インボイス制度の開始まで残すところ1年となりました。

本制度により大きな影響を受ける事業者も少なくなく、売り手としても買い手としても準備が必要となります。

前回インボイス制度についてまとめた記事はこちら

ところで、インボイスの保存がなければ仕入れにかかった消費税は控除できないとなると、課税事業者でない一般の個人から何かを仕入れるような事業者の負担は非常に大きいのではないかとなりますが・・

中古車販売業者が個人から中古車を仕入れた場合

例えば、中古車販売業者のような古物商を営む事業者がインボイスを発行できない個人等から中古車のような古物を買い取った場合には、インボイスの保存に代えて、相手方の氏名と住所、仕入年月日、仕入の内容、支払対価の額などを記載した帳簿を保存すればよいことになっています。

この他にも、不動産屋(宅地建物取引業者)が建物を個人から購入したような場合も同様の扱いとなります。

電力会社が、個人が太陽光発電によって発電した電気を固定価格買取制度(FIT)で買い取った場合

太陽光発電によって発電した電気の一部または全部を電力会社に売却している個人とその電気を国が固定価格で買い取っている電力会社との関係(FIT制度)には、上記の古物商の場合のような例外規定が整備されていません。

※FITとは、太陽光を始めとする再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた価格で一定期間(10年とか20年)電力会社が買い取ることを義務付ける制度。

例えば製造業における製造業者と免税事業者である材料仕入先の関係であれば、話し合いで仕入先にインボイス発行事業者の登録をしてもらうとか、そうでなければ仕入れ価格を消費税分安くしてもらうなどで解決することが考えられますが、今回のFITの例では、もともとの契約で電力会社は10年ないし20年の間、個人が発電した電気を(○○円+消費税)/kWhで買い取るとなっていますので、個人が消費税の課税事業者でなくインボイスをもらえなくても電力会社は単価に消費税をのせて支払う義務があります。

売電している側に消費税分が支払われなくなることはないようですが、このままですと、電力会社のコスト増が負担となり、電気代が上昇する可能性もあります。

資源エネルギー庁の審議会でもこの点について問題提起をしており、現在、協議を重ねているようです。

インボイス制度開始まであと1年、すんなりとは行きそうもない予感。

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