国税職員OBが自身の経験をブログで発信することと守秘義務との関係について考えてみた。

こんにちは、須坂市の植木税理士事務所の植木です。
このブログを始めて早くも(ようやく)一か月がたとうとしています。
ブログ開設当初の目標のとおり、税務だけでなく、お金全般のことや、それらと全然関係ない日々の出来事などをつらつらと綴っているのですが、やっぱり税務署勤務時代の経験に基づいた話が一番興味を引きそうです。
そうなると、「守秘義務」との関係が気になりますね。
これまでもこれからも守秘義務に反することは断じてないと言い切れると思いますが、この機会にせっかくなので整理してみました。
税務職員に課される守秘義務とは
国家公務員は、国家公務員法で守秘義務を課されていますが、税務職員はその職務の性質上、他の公務員と比べても極めてプライベートな情報にアクセスすることが可能となっていることから、さらに国税通則法という法律で二重の守秘義務が課されています。
税務職員に課される守秘義務
(国家公務員法第100条)
職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。(違反者は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
(国税通則法第126条)
国税に関する調査等に従事している者又は従事していた者が、これらの事務に関して知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用したときは、これを2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する
納税者が提供した情報がおいそれと他へ流出するようでは、調査に協力する納税者もいなくなってしまいますから当然です。
在職時代も、職場外(特にお酒の席)では仕事の話はするなとずっと言われ続けていましたし、上司の立場ではそのように部下に言い続けていました。
この守秘義務の規定でポイントになってくるのは、
・職務上知りえた秘密
・退職後も同様とする
という点でしょうか。
秘密とは、「非公知の事項であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるもの」(最高裁判例)をいい、納税者のプライベートはもちろん該当しますが、相手先がまったく推測されない調査よもやま話のようなものは該当しないとされています。
また、そのような職務上知った秘密は一生涯にわたって、他人に漏らしてはならない法的義務を負い続けます。
ブログで発信することが守秘義務違反に当たるもの当たらないもの
以上の点から、今後、当ブログで発信することが守秘義務違反に該当するもの、しないものをまとめてみました。
(守秘義務違反に該当)
- どこの誰のことをいっているのか想定できる調査事例
- 今後数年間に調査が見込まれそうな業種予想
これらは明らかにアウトでしょうね。
(守秘義務違反には非該当=公知であり秘密ではない)
- 税務調査の流れや調査官が見るポイント
- 税務調査でよく指摘される誤り、不正が多い業種とその手口
- 国税局の組織(どんな部署がどんな仕事をしている)
- 年間何件調査する?赤字だと調査こないって本当?e.t.c
これらは、多分調査の際にでも、調査官に雑談時の話題として振れば普通に答えてくれる内容だと思います。ネット上でも手に入る情報ですしね。
なんか、いろいろ次回予告みたいになってしまいましたが、税理士となった今、元公務員としての守秘義務だけでなく、税理士法上の規制(守秘義務や信用失墜行為禁止など)にも気を付けて、今後も発信していきたいと思います。