上場株式の売買や配当に対する税負担は重いのか軽いのか ~1億円の壁について考える~

こんにちは、長野県須坂市の植木税務会計事務所の植木です。
上場株式を売買して得た利益や配当金には所得税がかかります。
その税率は国税と地方税合わせて20%(復興特別所得税が別に加算されますが単純化するために省略)ですが、これは給与や事業所得に対する税負担と比べて重いのでしょうか、軽いのでしょうか。
高所得者ほど税負担は相対的に軽くなる
一般的には、富裕層・高所得者になればなるほど株式譲渡所得や配当金の税負担は軽くなります。
給与所得や事業所得には他の所得と合計した合計所得の金額に応じて、住民税とあわせて15%から55%まで7段階の税率で税金がかかりますが、上場株式の譲渡所得や配当所得に対する税率はその他の所得とは合計せずに20%の単一税率だからです。
具体的に、年収100万、1000万、5000万のそれぞれの人がさらに50万円収入を増やそうする時、給与で増やす場合と配当金等で増やす場合を考えると…
給与で増やす場合、年収100万円だと15%、1000万円だと33%、5000万円だと55%が50万円の収入の中から税金で消えるのに対して、
配当金等の場合はいずれの年収帯でも税金は20%です。
我が国の所得税率は累進課税により、高所得の人ほど税負担も重いと考えられがちですが、所得の多い人ほど所得全体のうちに金融所得の占める割合が増加する傾向があるので、所得1億円超付近で税負担が逆に軽くなっていくというのが実態です。俗にいう「1億円の壁」というやつです。
税負担の公平の観点から見直しの機運が高まっていました。
令和5年度税制改正の内容
とはいえ、金持ち優遇税制はけしからんといってやみくもに税率を引き上げようとしても、市場が混乱し、結果的に我々の生活にも悪影響が及んでしまいます。
令和5年税制改正ではどのような対策が打ち出されるのか注目でしたが、結局所得が30億円を超えるような超富裕層の負担を多少上げる程度のものに落ち着きました。
1億円の壁の打破はならず、今後も議論は継続されていくようです。
“上場株式の売買や配当に対する税負担は重いのか軽いのか ~1億円の壁について考える~” に対して1件のコメントがあります。