定率減税か定額減税か

政府で所得税減税の議論が行われています。

一定額を納税額から差し引く「定額減税」か、一定比率を納税額から差し引く「定率減税」か。

日本国全体とかではなく、対象になる個人の視点でみるならば、自分の納税額がどのくらいかによってどちらの方式の方が恩恵が大きいかが変わってきます。

定率減税(30%、上限30万円)の場合

① 納税額0の人(0所得者)

 引くことができる納税額が0なのでまったく恩恵を受けることができませんが、代わりに減税額程度以上の給付金が手当てされるのが通常なので、給付金(仮に5万円)の恩恵を受けることができます。

② 課税所得100万円、納税額15万円の人(低所得者層)

  納税額15万円×30%=4.5万円<30万円のため、4.5万円の恩恵

③ 課税所得400万円、納税額75万円の人(中所得者層)

  納税額75万円×30%=22.5万円<30万円のため、22.5万円の恩恵

④ 課税所得1000万円、納税額250万円の人(高所得者層)

  納税額250万円×30%=75万>30万円のため、30万円の恩恵

このように定率減税では、低所得者層よりも中所得者層以上で恩恵が大きくなります。一方で一定の上限を設けることで、高所得者層や富裕層にとってはそこまで恩恵は大きくなりません。

定額減税(5万円)の場合

① 納税額0の人

 引くことができる納税額が0なので、定額減税と同様にまったく恩恵を受けることができませんが、代わりの給付金が手当てされることで、5万円(仮)恩恵を受けることに。

② 課税所得100万円、納税額15万円の人(低所得者層)

  納税額15万円に対して5万円の恩恵

③ 課税所得400万円、納税額75万円の人(中所得者層)

  納税額75万円に対して5万円の恩恵

④ 課税所得1000万円、納税額250万円の人(高所得者層)

  納税額250万円に対して5万円の恩恵

このように、定額減税では、メインターゲットとなる低所得者層に必要な支援を行いつつも、中所得者層以上への支援額が抑えられるため、全体として減税に必要なコストを抑えることができます

まとめ

私が税務の職場に入って少したった頃(25年くらい前)には、限度額つきの定率減税が実施されていましたし、その前後には、定額減税+給付金も実施されていました。

景気刺激を主目的とするなら定率減税、生活支援を主目的とするなら定額減税といったところでしょうか。

今回は足元の物価上昇による生活支援対策が目的なので、定額減税+給付金の方法が選択されるようですね。

いずれにせよ法改正が必要なのでスピード感は0。

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