前沢友作氏の資産管理会社グーニーズが4億円の申告漏れを国税局から指摘されたとの報道について国税OB税理士がわかりやすく解説

こんにちは、長野県須坂市の植木税務会計事務所です。

報道によると、ZOZOの創業者である前沢友作氏の資産管理会社グーニーズが東京国税局の税務調査で4年間で4億円の申告漏れを指摘されたとのこと。

単純な経理ミスもあったようですが、話題となっているのは、あるスキームを組んで、会社から知人である女性にお金が渡るように仕組んでいたという点です。

どのようなスキームだったのか、まずはフィクション形式で概要を解説します。

社債発行による資金移転スキーム

私(税理士)のクライアントであるA社は、資産家であるX氏が自分の資産管理会社として設立した法人である。

ある日のこと、私はX氏からこのような相談を受けた。

X氏

先生、実は私には外に扶養義務がある子がいまして、その母親である知人に養育費を渡したいのですが、贈与税が大変になるので、私個人からではなく、A社からお金を渡したいんです。

税理士

扶養義務があるということは認知しているということですよね。それならば、通常の養育費の範囲なら贈与税はかからないので個人から出しても大丈夫ですよ。

X氏

通常の養育費というか、なんというか、、

とにかく金額的にも通常の養育費としては認められないと思うので、A社から出したいんです。

税理士

・・・わかりました。

では、まずA社が社債10億円を発行してください。それを私が設立したコンサルタント会社B社が引き受けます。利率は6%にして年間6000万円の利息をA社がB社に支払います。

同時に、X社長は、その知人に10億円を年利1%で貸してあげて下さい。

税理士

そうしたら、B社も10億円の社債を発行して、これはその知人に引き受けてもらいます。利率は同じく6%にして、B社から知人に年間6000万円の利息を支払います。

知人は、受け取った6000万円からX社長に借入利息1000万円を支払ったとしても5000万円手元に残りますので、結果としてA社から知人に5000万円のお金を渡すことができます。

X社長

なるほど。それだと贈与税は回避できそうですが、確か社債の受取利息にも税金がかかるのですよね?

税理士

6000万円の社債利息だと約20%の所得税等1200万円程度がかかりますが、贈与税の場合は約2800万円なので税負担は半分以下ですみますよ。

しかも、X社は社債利息を損金計上することで法人税等が約2000万円節税できます。

X氏

それはいいですね!それでいきましょう。

このスキームを実行に移し、A社は3年間で約2億円の支払利息を計上して法人の所得を圧縮する一方で、X氏の知人は低率の税負担で必要なお金を得ることができた。

(注)スキームの流れは報道を整理したものですが、その他の部分は今回の案件を分かりやすくするためにあくまで私が個人的に考えたフィクションです。

なぜ税務調査で否認されたのか

今回の事案、会社にとっては、社債を発行して適切な利率の社債利息を払っただけなので、法人税法上の個別規定では問題は何もない(否認できない)んですよね。

ただ、法人税法上の個別規定がなくとも「同族会社の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長が法人税の額を計算することができる」という包括規定があるのです。

「法人税の負担を不当に減少させる結果」というところが非常にあやふやで、税務当局が更正処分を行う場合にはその証拠を積み上げるのが非常に困難なため、この同族会社の行為計算否認規定は、めったに適用されない「抜かない伝家の宝刀」と言われています。

私も長く税務調査を担当しましたが、同族会社の行為計算否認規定を使ったという事案はほとんど聞いたことがありません。

今回は、修正申告しても税額が出ない赤字であったことから、話し合いで「法人税の負担を不当に減少させる結果」だったとして修正申告に応じたと考えられますが、納税者が争う更正処分の案件であれば、否認できたかどうか。(多分ムリだったと思います。)

その他の問題点

今回の税務調査は法人に対するものでしたが、知人の方はどうなったのかわかりません。

そもそも、同族会社とその関係者との間での社債利息を使った贈与税回避スキームは既に法律で認められないことになっていますので、知人が会社(前沢氏)の同族関係人に該当するかどうかが問題になります。

相続税部門の調査の結果、贈与の事実を意図的に仮装したと税務当局に認定されて、重加算税つきの贈与税を認定される可能性もあるかもしれません。

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